要するに「箱」 どう足掻いても「箱」 ただいまお片付け中


 行動力の民族。鉄の民に似た容姿に尻尾や翼など、獣の因子を持つ。表出した特徴は伝素ジーンと呼ばれ、血筋によって受け継がれて行く。体質にも影響し、熱帯地方に由来する獣の因子を持つ者は暑さに強かったりする。
 民の魔力の性質は「肉体」である。牙の民の魔法は体の機能の一部という捉え方をされることが多く、身体能力を強化する使い方をされることが殆どである。

鼓動魔法
 牙の民が扱う唯一無二の魔法。
 上述の通り身体機能に密接に働く性質がある。そしてそれ以外の性質は殆どなく、魔力の扱い方としては極めて原始的、野性的と言える。詠唱等の準備は一切必要なく、術者が意識した瞬間、それこそ心臓が鼓動するように発動することからこのように呼ばれる。
 全身の筋力を強化して物の運搬や戦闘に役立てる、視力を強化して遠方を観察する、自己治癒能力を強化して傷の完治を早めるなどが主な用法である。その他には、記憶力の向上、魔力の流れや組成を視覚や聴覚などの五感で捉える、血流や筋肉の動きをコントロールして完璧な「顔色」を作る、といったことが可能。中には無意識で行っている者もおり、自分自身その能力が魔法によるものだと気づいていないなんてこともある。そういった人間は何らかの原因で魔法が停止してしまうと、多くは身体の不調だと思ってパニックに陥る。
魔力体
 主に身体の内側で機能する鼓動魔法の例外的存在。魔力の塊が表出し、動作補助から(まさかの)遠隔操作まで様々に機能する。
 並大抵で扱えるものではなく、ひとたび形になればその人はあらゆる意味で「トクベツ」になる。
血号けつごう
 牙の民は名前と苗字の間に「ガグ」や「ミア」などの短いミドルネームを持ち、それは「血号けつごう」と呼ばれる。
 自分がその血と共に生きていることの強い自己主張でありかけがえのない証明。生まれた時に親族や名付け親から与えられ、成長を自覚し独立を望む頃に自ら新たな血号を名乗り周囲に認めさせるのが一般的である。その為普通に被る。生涯の目標と定めた憧れの人の血号を名乗る、なんてこともある。
 名乗りの際にこれを省くことは、自分自身にまつわる一切合切何もかもを破棄して相手に隷属することを意味する。
伝素ジーンが与える影響
 伝素ジーンは陸生系、水生系、飛行系の3種類が存在し、いずれも人間以外の鳥獣(哺乳類)であることが確認されている。
  • 陸生系
 多くは足腰や腕力が強くなり、魔法に頼らずともかなりの身体能力を持つ。
 人間としての頭部側面の耳だけではなく獣の耳(多くは頭の上部に付く)も持つ「4つ耳」と呼ばれる者もいるが、見た目通り聴覚に恵まれた者とそうでない者に分かれる。後者は器官がついてはいるものの人間耳と獣耳のどちらかが聴覚器官として殆ど機能していない。
 肉食系の伝素ジーンを持つ者が肉の生食を好んだり、草食系の伝素ジーンを持つ者が生野菜や野草を好んだりと、食の好みに現れることもあるが、この辺りは個人差が大きい。
  • 水生系
 シャチやイルカなどの水生獣の要素。牙の民全体で見て比較的数が少ない。
 心肺機能が非常に強く、指の間に他より大きいヒレを持っていたり、潜水時は手足にヒレ状の魔力体を形成出来たりと水中での行動に有利な特質を多く持つ。中には本物のイルカなどのように首筋に呼吸孔があったり、首の後ろが詰まっていて前が長いので陸にいるより水中で体を水平にしている方が楽、という者もいる。
  • 飛行系
 分かり易く鳥の翼を持つ者。基本的には背中に生えており自律飛行が出来る。
 腕や脚と翼が融合してしまい空を飛べなかったり日常生活に支障をきたしたりする「翼肢よくし」と呼ばれる者も中にはいる。先天的な病のひとつとされ、四肢の機能改善のための装具や治療が存在するが、未だ不完全である。
牙の民と睡眠
 牙の民は、獣の要素である伝素ジーンの影響なのか仰向けで就寝することを本能的に嫌ったり、そもそも仰向けでは寝られかったりする。
 基本的に体勢はうつ伏せか横向き、膝を折り畳んで何かに覆い被さって寝る「覆い寝」というスタイルもある。また、陸生草食系や飛行系の伝素ジーンの持ち主は、横になるまでもなく、落ち着いて座ることさえ出来れば後は上体を微動だにさせずに熟睡出来るという者も少なからずいる。骨や筋肉の作りが違うようで、睡眠以外でも他の人間が苦に感じる体勢でも全然へっちゃら、ということが間々ある。
牙の民の著名人
  • ベルファーガル・オリ・ルフロウム(鉄の民とのハーフ/防衛団・冬の心の門番)
  • カーニス・ガグ・ファールヴァー(調査団・団長)
  • ドーヴェン・オリ・チャーチル(冒険団・ホーニス支部長)

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